UFO DIG-UP! UFO手帖8.0 感想と紹介 その3(了)


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□シリーズ 超常読本へのいざない
永久機関の夢と現実 by馬場秀和さん

人類の見果てぬ夢、永久機関。
今なお永久機関の特許出願はなされており、場合によっては最高裁まで争い、却下、棄却されています。
詐欺師でもなく、無知蒙昧の徒でもないまじめで優秀な発明家がどうしてこのような怪しげな研究に資金と精力を浪費してしまうのか、状況を憂いたもと特許庁の審判官が愛情と情熱をもって永久機関のアイデアを丁寧に斬ってゆくのです……。
いや、これは興味深い。永久機関としての申請でなければ使えるアイデアもあるのに、でもやはり永久機関として申請しなくてはいられない、まさに魔力のようなものが永久機関にはあるようです。特許判例のデータベースで調べると、堂々と永久機関と謳った出願が複数なされて(そして訴訟になって)いることがわかります。
お役所仕事の中から生まれた魔導書という評価もまた素晴らしいのです。

〇イラスト by窪田まみさん
空飛び猫様たちが雲の上でお休み中です。その後ろを巨大な白蛇が悠々と降下していきます。
稲妻が走っていますが、猫様たちは平気そうです。

〇AIイラストのフラモンさん byめなぞ~る♪さん
おお、UFO手帖に画像生成AIが!
美少女化するフラモンさん(というか魔法少女なのかも。マスコット生物いるし)。

〇イラスト by窪田まみさん
穴ウサギとカッパちゃん姉妹。マフラーのようにヘビを巻いていますが暖かいのかな。

□アズ・フォーティアン・ワールド by稲生平太郎さん

・アメリカ大陸の"発見者"は誰か⁉
・超常現象を作り出すのは人間のサイコキネシス能力か⁉

の2編を再録しています。
『Az』連載のアズ・フォーティアン・ワールドの再録も今回で最終回となります。
ただ、連載の最終回は再録されていません。その理由について稲生平太郎先生が冒頭で語られています。

〇イラスト by窪田まみさん
何かが溶けて流れているのです。その向こうにいる誰かに手を上げる女性……。

□対馬のUFO目撃談とウツロ舟伝説 by相良つつじさん

長崎県対馬市豆酘で目撃されたUFOの記事をきっかけに、対馬に向かわれる相良さん。
対馬といえば禁足地「オソロシドコロ」。『禁足地帯の歩き方』などからの印象ではものすごい秘境感がありましたが、相良さんの記事からは地元の方々がきれいに整備されている様子が伝わってきて、なにか安心できる感じがします。
ウツロ舟伝説や天道法師の伝説は海外との接点の多い対馬ならではという感じですが、UFOの正体として可能性のある観測用気球やロケットの光、といった点が語られ、今なお境界としての対馬の特徴が強く印象に残るのです。

□UTANそれは俊足でオカルトを駆け抜けた徒花科学雑誌 by星野勝之さん

『UTAN』!懐かしいです。『Newton』の後追い科学雑誌という立ち位置で1982年に創刊、よく立ち読みしていましたが、
これほどオカルトに偏っていた時期があったとは思っていませんでした。(『Quark』も同じ年創刊ですが、こっちはこっちで別の方向に流れる傾向がありました)。
ただ、オカルト風味の強い1988年7月号であっても、表紙を飾るのは小和田哲男、小松左京、大槻義彦、小松和彦、と科学、学問の薫り高いラインナップではあります(大槻センセイもこのころは「火の玉」をやっていたのです)。
雑誌の最後まで付き合うことはあまり多くはないのですが、まさかUTANがパソコン情報誌として終焉を迎えたとは知らなかったのでした。

□ドラマ「小野田さんと、雪男を探した男~鈴木紀夫の冒険と死」を視聴して by新田五郎さん

2018年、NHK BSプレミアムで放送された、ドキュメンタリーを含むドラマですが、私は未見のままでした。
バックパッカーとして海外放浪→小野田元少尉に接触、帰国に結び付ける→雪男探索、という、すさまじいバイタリティーをもったロマンティストである鈴木紀夫。
陸軍中野学校二俣分校でゲリラ戦術と、どんな状況でも生き抜いて任務を遂行する意志をたたき込まれたエリート軍人、小野田寛郎。
まるで接点がないように見える二人なのに、鈴木紀夫は、投降勧告に耳を貸さない小野田元少尉について「自分なら連れてこられるのでは」と考え、実際に帰国させることに成功しています。
フィリピンのジャングルで二人はどんな話をしたのでしょうか……。
また、その後の雪男探索も興味深いです。ヒマラヤで雪男を目撃した旨の報告、しかし動画では確認できず。
写真に写った光点も気になります。
番組が良質なドキュメンタリー・ドラマであったことが伝わる良記事です。

□「日本初期のミステリーサークル」は解明されたのか 『幻解!超常ファイル』での解明事例を視聴して by有江富夫さん

『幻解!超常ファイル 最新映像スペシャル2021』で扱われた、1979年の茨城県筑波郡豊里町のミステリーサークル事件に関する分析と考察です。
番組では「バイクによるいたずら説」を採用してコーナーを終えるのですが、果たしてそれで良いのか。
「バイク説」の元となった高梨純一氏の資料には、説に対する否定的な情報が複数あるのですが……。
圧倒的な情報量で番組を検証していきます。

□新編・日本初期UFO雑誌総目録稿 by有江富夫さん

今回は1947~1979年、いつも通りのすさまじい情報量です。
「空飛ぶ円盤実見記 C・Gユンクと三島由紀夫の証言を巡って」というタイトルで種村季弘、磯田光一、高橋睦郎が鼎談している模様……。気になります。
大伴昌司、中岡俊哉など懐かしいお名前もいっぱいです。

〇『SA』でSpファイル友の会のコラム新連載!
本格的航空模型雑誌『スケールアヴィエーション』で「飛行機超常現象Xファイル『スー』」連載中です!

□介良事件の灰皿イベントレポート byオオタケンさん

あの「介良事件のUFO」と言われる灰皿が一堂に会する前代未聞のイベント!
本城先生の灰皿は『増補新装版 オカルト・クロニクル』の時に拝見したことを思い出します。

〇バックナンバー
「Spファイル友の会」はなんと今年で18周年!

今回も濃厚・良質な内容がいっぱいの一冊でした。
読もう、UFO手帖!