フォーティアンでいこう! UFO手帖7.0 感想と紹介 その3(了)

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UFO手帖7.0その感想と紹介その3回目です。

〇UFOとUFO本 第1回

・『イラストで見るUFOの歴史』
 『UFOs 世界の軍・政府関係者たちの証言録』 by馬場秀和さん

『イラストで見るUFOの歴史』
予約して買いました!表紙の、”アダムスキー型円盤に吸い上げられるトナカイ”の図だけで購入決定です。ちなみに裏表紙は”煙を吹きつつ湖に沈んでいくアダムスキー型円盤”。
記事でも触れられている通り、中身は本格派なのですが、掲載されたイラストや選択された事件に独特のマニア性や毒のようなものが感じられる点にも着目です。
例えば目次前のページにあるイラストは、”糸で吊り下げられたアダムスキー型円盤の模型とカメラ”だったりするのです。
うつろ舟も出てきますが、舟のアップではなく遠景にポツンと転がっている感じなのが良い。
よく見ると「ノウルズ一家 UFO 接近遭遇事件」も載っていたりするので、隅々まで目が離せない一冊です。

『UFOs 世界の軍・政府関係者たちの証言録』
予約して買いました!記事でも触れられている通り、内容はガチ硬派です。硬すぎて私は歯が立ちませんでした(途中で積ん読状態)。
やはりストレンジネスが高くないと私のような者にはつらい……。
ただ、オヘア空港事件の記事のように、”現実的な危険が想定されるのに噴飯ものの説明で対応を避けようとする政府への批判”というスタンスは、日本では見られないもののように思われました。

〇広告 byふしぎ堂さん

「ファフロツキーズ」スタンダードTシャツ!
いや、これ魚じゃなくて……。あたったら痛いじゃすまないヤツ。

〇この円盤がすごい! 第5回

・世界最古のUFO写真とその顛末 by太田健さん

「世界最古のUFO写真」なんと心揺さぶられる言葉でしょうか。
1870年に撮影された(という触れ込みの)一枚の写真。果たして雲の上を飛ぶ葉巻型UFOなのでしょうか。
ある映画プロデューサーがこの写真をネットに流したことで騒動が始まりますが、真相が究明され、じきに下火になります。
しかし、この記事の著者、太田健さんは追跡の手をゆるめません。なんと、件の映画プロデューサー、サミュエル・M・シャーマン氏と直接コンタクトを取ってしまうのです。なんという行動力。さて、このシャーマン氏とどのようなやり取りがなされたのか、真相はUFO手帖7.0でご確認ください。

〇イラスト by窪田まみさん

空飛び猫がお二方、楽しそうに空を飛んでいます。そして地上では少年と猫が暖かい眼差しで見上げている、そんな光景がロウソクの柔らかい光に照らし出されています。暖かく、切ないイメージに満ちた一枚です。

”はじめてのフォート”のコーナーの口絵が窪田まみさんのファフロツキーズ現象のイラストなのですが、この空飛び猫たちが超サルガッソー海まで飛んでいき、パニックになった魚たちが海からはみ出て降ってきた……的な妄想を脳内で繰り広げてしまったのでした。降ってくる魚がなんともおいしそうだったので、つい。

〇古書探訪 第7回

・ドナルド・E・キーホーが円盤研究家になる前のおはなし by中根ユウサクさん

キーホーと言えば「空飛ぶ円盤は実在する」を書いたNICAPの会長、という認識だったのですが、円盤研究家になる前から執筆を行っており、そのうちの一つが本国で発表されるや否や即座に邦訳され、なんと日本の経済界で注目されていた、ですと?
これまで誰も着目していなかった切り口からのキーホー研究です。
はたしてこれを読んだ当時の経済界はどのような反応をしたのか、たいへんに興味がわくところです。まじめな話、新たなキーホー研究の端緒となるのではないでしょうか。
この、キーホーの手になるアメリカ参戦時の国内動員シミュレーション小説『エム・デイ アメリカ參戰せば』ですが、半村良の『軍靴の響き』をほうふつとさせる匂いが……(視点は真逆ですが)。

・ちびっこUFO手帖 by中根ソウスケさん
 ちびっこ UFO手帖:お父さんによる解説 by中根ユウサクさん

今回は中根ソウスケさんの創作マンガです。テーマは「UFOによる侵略」。侵略SFです。破壊された会社にいるであろう同僚を想うシーンが良いです。また、最初はフリーハンドだった枠線がシャープになっていくにつれお話が緊迫化していくのも効果的。続きが気になります……。

〇超常読本へのいざない 第8回

・オカルトな子どもたち by馬場秀和さん

『オカルトな子どもたち 悪魔・心霊・四次元・超予言』という子どもの詩集からオカルトどっぷりな時代に育った子どもたちの心の世界が垣間見えます。
奇怪でグロテスクな表現をしたからといって「性格異常児の一面を感じる」と言った教育評論家の話も含め、世相を感じさせます。個人的にはそんなやつはタローマンに爆発させられれば良いのにとは思いますが。
でも、そんな傲慢な大人の反応も混みで、今も変わってないんじゃないか、とも思う次第なのです。

〇イラスト by窪田まみさん

チカラを発揮しているかのような少年、呼吸しているのは冷たい空気かそれともエクトプラズムか。
「UFO TECHO」シャツがちょっと欲しいのです。一瞬「UFO TECH」とも読めてそれはそれでまたかっこよい、と。

〇乗り物とUFO 第7回

・大変だ!上に人がいる! byものぐさ太郎αさん

タイトルが秀逸です。『トワイライトゾーン』の「2万フィートの戦慄」……。
今回はみんな大好きフライング・プラットフォームが題材です。もちろん私も大好きです。
UFO絡みでは、キャビンはちゃんあるがデッキにも搭乗員が立てる、そんな飛行物体の話が紹介されています。なんでみんな水を汲んでいるのだろう。
イラストでは球形のプラットフォームに乗るヒューマノイドが素晴らしい。両手に抱えた箱がコントローラなのでしょう。でもこれ本体はセグウェイの電動一輪車そっくりなのでは?1924年の目撃って……。
また、東洋の飛車や天狗のテクノロジーの話も素敵です。奇肱人や天狗については調べてみたいなあ。

〇イラスト by窪田まみさん

またしても寒そうな場所へ遊びに来ている穴ウサギとかっぱちゃんズ。穴ウサギさん暖かそうな格好でうらやましい。

ONESHOT ESSAYS

・奇現象とフラモンさん byめなぞ~る♪さん

フォート!ラヴクラフト!そしてタローマン!
ナイスでたらめ!

・チェンニーナ・UFOの波・SF映画の功罪 by太田健さん

チェンニーナ事件の真相に時代・地理・文化的背景を切り口にこれまでにないアプローチをした傑作記事です。
まず1954年という年がどれほどのUFOウェーブだったのか、数値で示されると驚愕します。なるほど、これだけのブームならばUFOに対して特段の興味を待たない人でも何らかの情報には影響されてしまうにちがいない。フランス、そしてイタリアの別地方で起きる奇妙な事件、関連する題材のSF映画の現地での上映時期、緻密に情報が積み重ねられていき、なんと調査は現在のチェンニーナまで及ぶのです。またしても恐ろしいまでの行動力。
空飛ぶ葉巻 Cigare Volantというワインがあると知り、検索したところ現在でも販売している模様。ラベルには山の端から現れた巨大な空飛ぶ葉巻(飛行船のイメージ)から強力なサーチライトが照射されている図がプリントされています。

・九州装飾古墳におけるUFO飛来説と発行体目撃談 by相良つつじさん

前号の永尾劔神社の記事も面白かったのですが、今回もまた素晴らしい一稿です。チブサン古墳、現地に伝わる空飛ぶ船の伝説、謎めいた壁画……いやもう思いっきり諸星大二郎の世界ではないですか。
人魂目撃談、地震発光現象、とまだまだ興味深いお話が続いていくのです。

・ジャック・ヴァレ、
 あるいは老ユーフォロジストの見果てぬ夢について by花田英次郎さん

昨年刊行された『Trinity トリニティ』(ジャック・ヴァレ パオラ・ハリス共著)について、『マゴニアへのパスポート』の翻訳を手掛けられた花田英次郎さんがリポートします。
扱われる事件は1945年ニューメキシコ州サンアントニオにUFOが墜落した、というもの。しかも、米軍がその機体と搭乗員を回収していた?!
UFO=エイリアンクラフト説を全否定の、あのジャック・ヴァレがまさかの変節か、と疑いが持たれるのですが、果たして……。ジャック・ヴァレ愛にあふれる一稿です。

・アーノルド事件について 紹介記事の誤謬を糺す by有江富夫さん

みんなが知ってる、みんな大好きアーノルド事件。しかし、その知識は本当に正しいものですか?
私の知識もたいがい誤っているかあいまいでした。
ケネス・アーノルドが当初語らなかったある機体の形状、UFO事件調査任務にあたっていた軍人との会話、そして彼らの”事故死”。
思っていたよりもこの事件はずっとスリリングです。

・ポイントプレザント以後のモスマン by比嘉光太郎さん

みんな大好き、私も大好きなモスマンですが、シルバーブリッジ崩落の後も活動を続けていたとは知りませんでした。
なにやら、災害の先触れとしての妖怪的な役割を与えられてしまった模様です。日本の”夜雀”的な感じなのでしょうか。飛ぶし。
災害は勘弁ですが、モスマンの目撃は今後も続いていってほしいものです。

・「喫茶よてあも」跡を訪ねて by比嘉光太郎さん

宇宙友好協会 CBAの会長、松村雄亮氏が宇宙人女性とお茶をした伝説の場所、「喫茶よてあも」。
今はもうないその喫茶店跡地を訪ね、松村氏の「体験」についての思いを温かみに満ちた筆致で描かれています。
水ミルク……映画『ヒドゥン』では異星人の刑事が頭痛薬をコップの水に入れて飲もうとするシーンがありました。異文化を表現しやすい情景なのかもしれません。

・新編・日本初期UFO雑誌総目録稿(1947-1979)第3回 by有江富夫さん

今回もすさまじい情報量です。
「J・アレン・ハイネック 空飛ぶ円盤の謎深まる」とあって、やはりリーダーズ・ダイジェストは欠かせません。
有江富夫さんは「アーノルド事件について 紹介記事の誤謬を糺す」の記事に、「リーダーズ・ダイジェストのような雑誌は、商談の際の話題作りのネタとして必読書」と記述されていますね。
「アメリカを襲ったこん虫人間」(少年サンデー)、どうやらモスマンのことらしいです。
他にもCBAによるチブサン古墳への(無許可の)アーチ・説明板設置にまつわる騒動を記した雑誌情報や説明も記述されていて、相良つつじさんの「九州装飾古墳におけるUFO飛来説と発光体目撃談」と合わせて読むとまた広がりを感じます。

〇バックナンバー

「『SA』でSpファイル友の会のコラム連載開始!」の紹介があります。
本格的航空模型雑誌『スケールアヴィエーション』にコラムが連載されています。
その名も「飛行機超常現象Xファイル『スー』」!
最新号(2023年1月号)が出たばかりです(発売日2022年12月13日)。

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今年で17周年を迎えるSpファイル友の会が刊行する20冊目の同人誌となる『UFO手帖7.0』、今号も怒涛のボリュームと濃度です。

読もう、UFO手帖!!