UFO手帖5.0 感想と紹介 その2

感想と紹介 続きです。


●複数の目撃者がいる80年代以降のUFO事件 by秋月朗芳さん
オヘア国際空港UFO事件は2006年の事件であることから、比較的新しい事件、それも複数の目撃者がいる事件に着目してみることに。

UFOの流れは1980年近辺に変化しているのではないだろうか。
この疑問を、前期UFO(1940年代後半~1960年代終わりまで)、中期UFO(1970年~1980年)、後期UFO(1980年以降)に年代を分けて考察する。
有名事件が続々発生する熱い時代だった前期、プロジェクト・ブルーブックもNICAPも無くなってしまい、UFOではなく「宇宙人」が跋扈する中期、そして前期の事件の再評価と拡大再生産(質より量)の後期。もはやUFOとは何だろうかと考える風潮はない……。
しかし、この後期UFO的風潮に埋もれてしまった「普通の」UFO事件、それも複数の目撃者がいるケースがあったのだ。
ダイヤモンド形のホバリング物体(ヘリに曳航されている)目撃事件や、空軍基地近くに着陸した三角形の物体(小さめ)の目撃事件という地味な事件、かと思えば数万もの人が目撃した「ベルギーUFOウェーブ」のような派手な事件もある。

この後、後期UFOの個別案件が紹介される。

・ハドソン川渓谷のUFO事件
複数回にわたって超巨大な飛行物体(「フットボール場」ほどとの報告)が出現。5千人ほどの人たちに目撃される。
・コスフォード事件
巨大な飛行物体の目撃情報が、3つの地域から200件ほども寄せられる。
「コンコルドが並んで……」「ビームで地上を走査」「鈍いハミング音」など興味深い報告が多い。
・ユーコンUFO事件
湖も凍る時期に20人以上に目撃された「光の列」あるいは「さまざまなライトがついた物体」。
目撃者の懐中電灯に反応したり、サーチライトで地上を照らしたりといった動きも見せる。
幼い子供たちの反応が可愛い(サンタクロースが……)。
・イリノイ州南部UFO目撃事件
これまた超巨大(「サッカー場」サイズ)な物体が複数地域をまたいで目撃された事件。
各地域の警察官が証言しているという点も見逃せない。

記事内で紹介されている『illinois』(イリノイ州コンセプトのアルバム。一曲目は「イリノイ州ハイランド近くのUFO目撃について」)のジャケットが良い。ちゃんとUFOの編隊が飛んでいる。あと、どこかムーンライダーズの『火の玉ボーイ』を思い起こさせる。

・スティーブンビルのUFO目撃
またもや「フットボール競技場」サイズである。報告をまとめると長さ約1.6㎞、幅約0.8㎞とのことで、そりゃ大きい。
この事件ではレーダーに反応があったため、F-16が発進している。

こうしてみると後期であってもUFOそのものへの興味をかき立てる事件も多いように思われる。
まだまだ、これからも我々はUFOを見続けていけるのではないだろうか。

●給水塔 byくぼたまみさん
給水塔って恰好良いけど、どこか不安を覚えさせられるところがある。さみしげな感じがたまらないイラスト。
●かっぱちゃんと穴ウサギ byくぼたまみさん
雪の中なのに暖かそうな面々。冬の木立が郷愁を誘います。

◎UFOと音|UFOと漫画/アニメ のコーナー。今回もメジャーからマイナーの極北まで各種取り揃えであります。

●UFOと邦楽

・山口百恵 『COSMOS 宇宙』 by星野勝之さん
山口百恵のSF・ファンタジー的なモチーフのアルバムなどというものがあったことをはじめて知った。
宇崎竜童、森雪之丞、浜田省吾、来生たかお などなどキラ星のような作曲陣にジャケットは横尾忠則という気合の入れようはさすがに山口百恵といったところだろう。
1978年のアルバムなのだが、この年の前年発表の大ヒット曲にはピンクレディーの『UFO』があるので(沢田研二の『ヤマトより愛をこめて』は1978年)、そういう時代だったということでもあるのか。

・チューリップ 『2222年ピクニック』 by星野勝之さん
ジャケットが印象的。のどかな風景に見えても良いのにこの不安な感じは何だろう。
美しい青空に浮かぶ雲の切れ間に不穏なものが覗いているような気がしてくる。
2222年にも空はきっと青いだろう。その下に人類がいるかどうかはわからないけれど。

・Rayons ft. Predawn 『Waxing Moon』 byペンパル募集さん
Rayonsこと中井雅子がPredawnこと清水美和子をフィーチャーした『Waxing Moon』。
文中でも触れられているがこのミュージックビデオが良い。
海や草原やビルなどの背景である空に微かに見える光点、それがビームになり幾何学模様を描く。
透明感のある歌声と楽曲とフィットした美しい、どこか不思議な映像。

●洋楽とUFO

・Eat Static 『implant』 by星野勝之さん
タイトルが楽しい。abduction, Alien Artifacts, area 51……。
UFO、宇宙人好きの人たちであることがひしひしと伝わってくる。
曲はアンビエント系です。

・『Bigfoot A Living Legend』 byペンパル募集さん
これは、珍品!よくこんなものを発掘してこられるものだと驚嘆します。
ほぼ、ナレーションと「ビッグフットの鳴き声」のみのアルバムというおそらく地球で唯一の代物でしょう。

●UFOと漫画/アニメ

・「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」 by 新田五郎さん
ディズニーチャンネルで放映されたアメリカのアニメ。これがたいへんに面白そう。
妖精っぽい小人、ネッシーっぽい水棲恐竜のような怪物、ゾンビ、幽霊、果てはメンインブラックまで登場とは。
基本のスタイルはギャグだが、終盤に向けて大いに盛り上がっていく模様。
ああ、感想を書いている場合ではない。すぐにも見たくなってきた。

・クリハラタカシ『冬のUFO・夏の怪獣』by ペンパル募集さん
さびれた宇宙博物館、錆びたUFO、あたりまえとなっているUFOの存在(しかも過去の遺物)。
未来から語られるUFO史「ファーストコンタクト以前のUFOって……」とはもうSF心をかきたてられる。

●アダムスキーみたいな人たち byものぐさ太郎αさん
今回は、ラインホルト・O・シュミットさん。
全長30メートルくらいの「小型飛行船」のようなものからドイツ語をしゃべる人が出てくる(シュミットさんはドイツ系アメリカ人)。
服装も普通で、しゃべる内容もそれほどぶっ飛んでいるわけではない。飛行船もプロペラで飛んでいくし。
興味深いのはシュミットさんの目撃と同日別の場所で細長い気球のようなものが落下しまた飛び去るのが目撃されている点である。
その後シュミットさんはラジオの奇人変人紹介コーナーに出演したそうだが、この時点ではまだあの小型飛行船搭乗者が宇宙から来た人であるとは考えていない(彼らが土星人であると知るのは翌年の再会後である)ため、この番組内では見たままの話をしたのではいかと思われる。
にもかかわらず精神病院に入れられてしまうというのはひどい話だ。。
またも興味深いことにシュミットさんの目撃の翌日別の州で、地上に降りた物体と、人員構成が同じなドイツ語っぽい言葉を話す人たちが目撃されている。
土星人と一緒に水中に潜ったりピラミッドに行って驚愕の事実を知ったりと冒険にいそしむシュミットさんだが、その活動の白眉は自らの体験を映画にしたことだろう。
すばらしい。映画としては酷評されているようだけど、何より完成させたと言う事実がすばらしい。
体験談を書物に著すのはほぼ一人作業でできることだが、映画というのは役者も含めて複数人のチームで行わなければできない。
完成させるに至るほどのモチベーションがあったことは間違いないのだろう。

続きます。