ぼくたちは、UFOをまわさなければならない
先日の文学フリマで『UFO手帖5.0』が頒布されました。
以下、感想と紹介をつたなく綴っております。
表紙はオヘア空港UFO事件で目撃された"雲に空いた穴"がモチーフ(イラスト 窪田まみさん)。
今号の特集『UFO』という映画のベースとなった2006年の事件である。
この雲の穴はUFOが雲を突き抜ける際に開けられたものなのだ。
そして「デレクチャート」がうっすらと……。
今号の特集『UFO』という映画のベースとなった2006年の事件である。
この雲の穴はUFOが雲を突き抜ける際に開けられたものなのだ。
そして「デレクチャート」がうっすらと……。
●特集:映画『UFO - オヘアの未確認飛行物体』
「これ誰か見た?」
編集長からの紹介を受け、一斉にこの映画を視聴し始めるSpファイル友の会の面々。
地味な画面に隠された熱い内容、詰め込まれた情報と要求される物理学、数学的素養、そして日本語字幕に翻弄されながらメンバーズが読み解いた、知られざる傑作UFO映画の真実とは!?
編集長からの紹介を受け、一斉にこの映画を視聴し始めるSpファイル友の会の面々。
地味な画面に隠された熱い内容、詰め込まれた情報と要求される物理学、数学的素養、そして日本語字幕に翻弄されながらメンバーズが読み解いた、知られざる傑作UFO映画の真実とは!?
●UFOという名のUFO映画 by秋月朗芳さん
この『UFO - オヘアの未確認飛行物体』という映画であるが、あらすじとしては
UFO出現事件に関する報道を見て真実の隠ぺいに気づいた主人公は、得意の数学を武器に、事件の真相(というより提示されたメッセージの解読)にのめりこんでいく、
という話である。
UFO出現事件に関する報道を見て真実の隠ぺいに気づいた主人公は、得意の数学を武器に、事件の真相(というより提示されたメッセージの解読)にのめりこんでいく、
という話である。
物理学の要素や数学的・プログラム的な要素が盛り込まれておりハードな印象が強いが、私のような者には、主人公を突き動かす熱い思いへの共感が感じられる映画だった。
何といっても強く印象に残るのは、本文中で喝破されている通り「ある日突然、自分だけがUFOの秘密に気付いてしまう」、ということへの憧れである。
もし、自分が得意とする分野でのみアプローチ可能な課題があり、しかもその課題の存在に気が付いているのが自分だけ、という状況に置かれたら、それはもうのめりこむことだろう。
そしてその課題が「UFOからのメッセージを解読すること」だったら……。
そしてその課題が「UFOからのメッセージを解読すること」だったら……。
UFOファン垂涎のこのシチュエーションに放り込まれた映画の主人公デレクくんは
得意の数学を駆使してメッセージの解読に耽溺していく。
たとえ、大学の単位やガールフレンドとの関係を犠牲にしても……。
得意の数学を駆使してメッセージの解読に耽溺していく。
たとえ、大学の単位やガールフレンドとの関係を犠牲にしても……。
そんな「ちょっと、寂しい」感も漂うこの映画、お勧めです。
あと、この映画に関して秋月さんが巻き込まれた、UFO研究家ならではの"奇禍"に関しても注目あれ。
●アレックス・シャープがデレクになるまで by秋月朗芳さん
この映画の主人公デレク・エカヴァローを演じたアレックス・シャープの経歴を紹介。
舞台『夜中に犬に起こった奇妙な事件』から映画『パーティで女の子に話しかけるには』を経て
本作『UFO - オヘアの未確認飛行物体』に至るのだが、いずれも主役。
なるほど、アレックス・シャープは、なるべくしてデレク君になったのだと思わせる。
舞台『夜中に犬に起こった奇妙な事件』から映画『パーティで女の子に話しかけるには』を経て
本作『UFO - オヘアの未確認飛行物体』に至るのだが、いずれも主役。
なるほど、アレックス・シャープは、なるべくしてデレク君になったのだと思わせる。
●微細構造定数の彼方に by馬場秀和さん
さて、この映画の本質ともいうべき「ハードな部分」の解説である。
映画を見ながら「??よく、わからない……」となっていた部分(「とりあえず後回し」としていた部分)をすべて解説してくれる、とてもありがたい論考である。
とりわけ、シグナルを"〇"と"-"で表す「デレクチャート」のシーンでの戸惑い、
「あれ、"ON"が"〇"じゃないの?逆なの?」
についての明確な解答はたいへんにありがたいものでした。
映画を見ながら「??よく、わからない……」となっていた部分(「とりあえず後回し」としていた部分)をすべて解説してくれる、とてもありがたい論考である。
とりわけ、シグナルを"〇"と"-"で表す「デレクチャート」のシーンでの戸惑い、
「あれ、"ON"が"〇"じゃないの?逆なの?」
についての明確な解答はたいへんにありがたいものでした。
他にも、
・「14ビット」の意味
・何故「アレシボ・メッセージ」に言及しているのか
・本命、「微細構造定数」とはどういうものであるか。メッセージにおける微細構造定数の意味は何か
・ヘンドリックス教授が伝えてくれた、水素原子が放射する電磁波の波長の意味について
・ラストでFBIのおじさんから提示される「本試験」の課題について
・「14ビット」の意味
・何故「アレシボ・メッセージ」に言及しているのか
・本命、「微細構造定数」とはどういうものであるか。メッセージにおける微細構造定数の意味は何か
・ヘンドリックス教授が伝えてくれた、水素原子が放射する電磁波の波長の意味について
・ラストでFBIのおじさんから提示される「本試験」の課題について
という、映画の中で「よくわからない」あるいは「全くわからない」部分について痒い所に手が届くように解説してくれている。
これを読むと、もう一度(と言わず何度でも)あの映画を見なくてはならないという気持ちになります。
微細構造定数がもしかしたら変数なのかもしれない、という点について思い出したことが一つ。
昔、まだ「トンデモ」領域には位置していなかった大槻義彦教授が、「もしプランク定数が一定でなかったら」という仮定で短文を書いていたっけ。
少し寂寥感のある、印象深い文章でした。
少し寂寥感のある、印象深い文章でした。
●オヘア国際空港UFO事件 by秋月朗芳さん
この映画の元となっている事件「オヘア国際空港UFO事件」についての解説。
確かに映画の中では別の空港が舞台になっているのだが、何しろタイトルが『UFO』という味もそっけもない一単語であるため、少しでも情報量を増やそうとしてつけられた邦題であるように思う。
この映画の元となっている事件「オヘア国際空港UFO事件」についての解説。
確かに映画の中では別の空港が舞台になっているのだが、何しろタイトルが『UFO』という味もそっけもない一単語であるため、少しでも情報量を増やそうとしてつけられた邦題であるように思う。
実際の「オヘア国際空港UFO事件」の注目点は
・目撃者が多数いること。
・UFOが飛び去った後に雲に円形の穴が残されていたこと。
・UFOが飛び去った後に雲に円形の穴が残されていたこと。
の二点が挙げられるだろう。
しかしながら、映画ではこの二つのうち「雲の穴」については完全に無視しており、視覚的な主張を極力抑えるという硬派なスタイルを貫いてるところが印象的である。
実際の事件では(連邦航空局の回答とは異なり)、空飛ぶ円盤目撃に関する交信記録が残っており、「何かが目撃されていたこと」についてはかなり信頼性の高い証拠が残っていると言えるのではないだろうか。
『未知との遭遇』の中の「UFOと報告するか?」とパイロットが問われるシーンを思い出す……。
『未知との遭遇』の中の「UFOと報告するか?」とパイロットが問われるシーンを思い出す……。
「オヘア国際空港UFO事件」については、超常現象専門のジャーナリストであるレスリー・キーン氏へのインタビューで
語られている(https://mgz.sharejapan.org/wp-content/bn201607/sinews/magazines/ljbue8/g8owm6/zdfa6w.html)。
「シェア・インターナショナル」という神智学系のサイト(らしい)の中の記事であるが、
「雲に空いた穴」が気象現象(穴あき雲:ホールパンチクラウド)であるか否かに関しての考察もあり、興味深い。
語られている(https://mgz.sharejapan.org/wp-content/bn201607/sinews/magazines/ljbue8/g8owm6/zdfa6w.html)。
「シェア・インターナショナル」という神智学系のサイト(らしい)の中の記事であるが、
「雲に空いた穴」が気象現象(穴あき雲:ホールパンチクラウド)であるか否かに関しての考察もあり、興味深い。
余談ではあるが、レスリー・キーン氏の著書『UFOs:Generals, Pilots, and Government Officials Go on the Record』
が映画化される、という情報を見つけて驚愕している
(https://deadline.com/2018/01/lasse-hallstrom-laura-bickford-ufo-movie-leslie-kean-wendy-button-1202265844/)。
そして監督がラッセ・ハルストレムであることも知ってさらに驚愕している。やかまし村……。
が映画化される、という情報を見つけて驚愕している
(https://deadline.com/2018/01/lasse-hallstrom-laura-bickford-ufo-movie-leslie-kean-wendy-button-1202265844/)。
そして監督がラッセ・ハルストレムであることも知ってさらに驚愕している。やかまし村……。
●空港とUFO ―乗り物とUFO出張編 byものぐさ太郎αさん
空港がらみのUFO事件、であるが冒頭の「オヘア空港近くを飛行中の航空機のコクピットからの画像?」写真が度肝を抜く。
空港がらみのUFO事件、であるが冒頭の「オヘア空港近くを飛行中の航空機のコクピットからの画像?」写真が度肝を抜く。
ゴーマン少尉空中戦(未確認飛行物体の追跡戦だが、幸い死者は出ない)をはじめ、日本を含む世界各地の空港で発生した十数件の事例が紹介されている。
レーダーにしか映らないケースもあれば人の目でしか捉えられないケースもある。たいていは一回のみの事件だが、中には一週間後に再登場というケースもある。
中でも驚きなのは、UFOが着陸してしまったケースがある(それも複数件)ことである。空港だからといって空飛ぶものなら何でも着陸して良いというものでもないでしょうに。
レーダーにしか映らないケースもあれば人の目でしか捉えられないケースもある。たいていは一回のみの事件だが、中には一週間後に再登場というケースもある。
中でも驚きなのは、UFOが着陸してしまったケースがある(それも複数件)ことである。空港だからといって空飛ぶものなら何でも着陸して良いというものでもないでしょうに。
また、個人的には葉巻型が出てくるのがうれしい。
あと、腹ペコナチス将校何か気の毒……。
事件に硬軟の差はあるが、空飛ぶもののプロたちが働く場所での目撃事例というのは興味深いではないか。
続きます。