『UFO手帖 4.0』 オンライン販売開始です!

Spファイル友の会がお送りするUFOエッセイ誌『UFO手帖4.0』、文学フリマで発売されました。
そして、皆様お待ち兼ねのオンライン販売が開始です!!

以下、毎度の事ながら拙いながらの紹介と感想です。

●表紙 イラスト:窪田まみさん テキスト:ペンパル募集さん
「夫」-「UFO乗員」-「秘密の会議」-「金星人」-「四度まで殺害しようと」…
まず表紙です。
初めてのカラー表紙、美麗なイラストに重ねて不穏なワードのオンパレードです。
「ステラ・ランシング夫人の不思議な写真」の注釈として提示された、あるコンタクティの妻の物語。
夜な夜な山の上に出かけ自称金星人の女性と密会する夫、しかも自分を殺害する計画を立てている…。
不安と不穏が錯綜する「気になる」表紙。

●断片的なもののUFO学 ガイダンス by馬場秀和さん
「ガイダンス」の銘にふさわしく、実証主義、解釈主義というアカデミックな言説で始まるこのコーナーだ が、本文に入っていきなり牙をむく。
ヒル夫妻誘拐事件で、宇宙人が行った「妊娠検査」については言及されるのに、「入れ歯案件」(バーニー は入れ歯だったので引っ張れば外れたのに、ベティは自前の歯だったため宇宙人が引っ張っても外れなかった。ベティの歯だけ外れなかったことに大興奮する宇宙人、とベティが証言している件)については皆無視している。
また、ロズウェル事件について、墜落現場付近で行われていたロデオ大会会場できらきら輝く金属片が目撃されていたという証言に関心を持つ人も少ない。

これは何故か?

宇宙人による誘拐や空飛ぶ円盤の墜落といった事件のイメージ(陰惨で怖いイメージ)にふさわしい情報だけあげつらって、それにそぐわない情報(笑いを誘ったり陽気なイメージを与える情報)は「断片的なもの」として無視されているためではないか。
こういった、「ジグソーパズルの余ったピース」のような情報を、世のUFO研究家はどう扱ってきたかに着目しUFO学の構造と変遷を浮き彫りにする、野心的な論文である。

それでいてたいへんにわかりやすく、面白い。

1.実証主義UFO学 ‐‐関心対象はUFO
2.解釈主義UFO学 ‐‐関心対象はUFO報告
3.断片的なもののUFO学 ‐‐関心対象は私たち自身
この章タイトルだけでももう痺れてしまうのである。
深遠を覗いていたら自分が見えてきた…。


●ちょっと気になる…(P.15)
個人的に大好物の画像集。
残念なモスマンのキャラデザをした人はアブダクティーかもしれない(画力が奪われる説あり)。
モスマンやフラモンを可愛く描く、というのはもはやグローバルな流れなのかも。


●ポーランドのUFO本 by花田英次郎さん
ポーランド。名前は知っているが私のような蒙昧の徒には遠くて遠い国。かのエミルシン事件がポーランドを舞台としていたことも今記事で初めて知った次第。しかしこの事件以外にも多くの事件が発生しており、実はUFO大国なのだった。

「偽太陽」事件というたいへん興味深い事例でも2件、UFO墜落に至っては4件もの紹介が記事中にある。ソースが怪しい話もあるが、UFO事件として語られた、という点がこの地のUFOに対する関心の高さを物語っている。

そして、やはりエミルシン事件であります。
私が以前読んだ話ではエレベータ機構や室内のパイプ、あとドリルみたいに回っている物といった点が記憶に残っていて、全体にメカメカしい印象のUFOというがあった。
本記事に掲載されているコミックの描写ではなんとなくリトルグレイっぽい姿で描かれている搭乗者だが、目はアーモンド形ではなく細く吊っていて、鼻が描写されているところが大きく異なるところか。あと服を着ている点も。
エミルシンさんは搭乗者に勧められた「ツララ状のもの」を食べずに帰ってくるのだが、民話・伝説好きとしてはこれを食べたら帰って来られなかったのではないかと思っている。あと自分だったらきっとこれ食べている。

エミルシン事件の直後から「緑色の小人」が目撃されるケースが複数報告されるようになったというのも興味深い。有名な「ハウピ事件」もその例であるとは知らなかった。物証あり、テレパシーあり、目撃者の記憶の空白ありというたいへん心躍るケース。

その他にも軍人・警官による目撃例(中尉による光体目撃方向は『竹取物語』を髣髴させる)、ハイ・ストレンジ事例(何故か複数の事例で報告される空飛ぶ巨大なスクリーンとか)数多くのしかも興味深い事件が紹介されている。個人的には室内で「光る瞳」のようなものを目撃したケース(眼球型UFO!)や、「私たちは他の世界から来ている」と自らの出自を語るケースがたいへんに興味深いのでありました。


●1975年頃の紀南フラップについて byものぐさ太郎αさん
1974年あたりから、和歌山県南部ではUFOフラップが発生していたらしい。赤黄色だったり青白かったり、分裂したり下部から火を吹く大根型だったりとバリエーションが豊かな目撃例が多数ある。中でも色が変化するヤッコダコ風の物体とコマ状物体(古き良きお正月的光景)のケースはほほえましくも斬新である。

こういった歴史を持つ場所の紀行文が本文であるが、70年代にUFOを目撃された少年が現在住職を務められているお寺に取材したり、地元の喫茶店(その名も「喫茶UFO」)で聞き取りをしたりとたいへんバイタリティあふれる活動をされている。
偶然お祭りの日にあたり、獅子舞や花火の風景が語られるなど、視覚的にも華やかな紀行文なのでした。

●止まるドッヂボール by金色髑髏
ここで紹介した"かふん"さんのコミックはおすすめです。特に著者の幼少期や、著者を産む前にお母さんが体験した話が独特で、怖いはずなのにどこかおかしい。
・お母さんが「山菜ドロボウ」と呼ぶ、正体不明の怪物(なにやら細長くて「よよよよよ…」と鳴く)。
・家の庭に大量にある「注連縄を巻かれたドラム缶」。
・何かしゃべったり、ガラスが割れたような音を出す鏡台(割れてはいない)。
各話の最後には「フィクションです」とは書いてあるものの、ゼロからこんな話を創作できたら逆に怖いわ…と思わせるリアリティがあるのです。


――→続きます。