今回は「幽霊飛行機の発達」というテーマ。
謎の飛行機がターゲットです。形が異常だったり、やたら高性能だったり、逆にレトロだったりする。
正体がよくわからないか、何だかはわかるのだけれどもそこにいるはずのない飛行機。
ケネス・アーノルドの見た「フライング・ソーサー」について、その飛び方(水切りのようなスキップ飛行)が「ゼンガー」に似ているとの指摘が文中にあり。
ゼンガーと言えば「対蹠地爆撃」だ(笹本祐一著の「ほしからきたもの。」で知った。本稿にはXB-70バルキリーも出てくるので、ファンには嬉しい)。
成層圏の上を水切りのように跳ねて効率よく飛行する、という構想は現在でもスペースプレーンに活かそうという計画があるそうだ。
この飛び跳ねる系の飛行物体はもう一件文中に記述があるので、割とポピュラーな飛行方法かも。
飛行機としては形状がおかしい(卵型)のに、機体に「UN」の文字が見られたケースについては、やはり国連軍所属であって、未来からタイムスリップしてきたという説を勝手に考えた。いっそ未来の国連が開発したタイムマシンというのも考えたが、過去に来るのにわざわざ機体に「国連」と書いたりしないだろうし。
まさか、この目撃譚を成就させるために記録にあるとおりの機体を未来から送り込んできた?
UFOというと幅が広いが、飛行機(の様に見えるもの)に限定してもなお不可思議な事例が出てくるものだ。
もしかしたら、諸星大二郎のマッドメンに出てきた様な、カーゴ・カルトの模造飛行機が本当に飛んでいる光景もどこかで目撃されているかもしれない。
「死後の世界の世界」のコーナー
今回は「ブレインストーム」(1983年の映画)が対象だ。
私は未見なのだが、同時期の雑誌「ファンロード」に紹介記事が載っていたことを覚えている。
面白そうだと思ったのだが、興行的には失敗だったのか。
サイバーパンクの走りの映画と言っても良いのだろうか。時期的には「スキャナーズ」(1981年。精神をコンピュータ内に潜らせる描写あり)の方が少し早いけど。
こういう科学者・技術者が暴走的に実験を進めた挙句、人間(または世界)の根源的な何かに触れる、という筋立ては好みなので、見てみたい。
「アルタード・ステーツ」とか好きなんだよなあ。
「ぼくはUFOを見た!」のコーナー
緊急報告。中根ユウサクさんの息子さんによるUFO目撃状況のインタビュー。
タイトルから往年の名著「私は幽霊を見た」を思い出したりしてわくわくする。
5歳の少年が半年前に目撃したUFOの詳細を語るというシチュエーション、しかも半年の間は(最初の簡単な報告以外)この件について何も語らなかったのに突然、というところが興味深い。
その間どのように自らの中で第一種接近遭遇体験を反芻していたのか、また、何が少年に語ろうと思わせたのか。
まったく勝手ながら、これは一遍のお話の素にできるのではなどと考えたり。
あと、顔があるUFOというと、マジン・サーガのグレンダイザー…。
「ブルーブックもつらいよ」のコーナー
第2回。アーノルド事件以降イタズラも多くなったようで、調査員の方の苦労が偲ばれる。イタズラがなければ他の事件(燃える十字形UFOとか洋ナシ型→豆型変形のUFOとか)をもっと調査できたのでは、と思うと悔しい。
イタズラ(と判断された)のケースを読んでいると、今なら絶対ドローン使うだろうな、と思うことしきり。実際に起きたりはしていないのだろうか。
風船爆弾って本土に到達していたんだ。和紙とコンニャク糊すごい。
「UFO写真展の思い出」のコーナー
こまマンガ。
私は宗教系勧誘者に無視されます。同業者と思われてるのだろうか、と心配になる。
「読書感想文」のコーナー
森達也著「オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ」について。
この本は読まなければと思っていた一冊なのだ。でももう家には本を置くスペースがないのだ。
などと思っていたらkindle版が出ていたのだ。
よし、読もう。
「キミもUFO探知機を作ってみよう」のコーナー
あ!こういうのドストライク。
子どもの頃から「子供の科学」「ラジオの製作」などを読んで「○○の作り方」系が大好物だった私としてはたまらない記事である。最近になっても「Make:」とか買ってブレインマシーンとか作っているほどだ。
ちなみにソリッドアライアンス社のUFO探知機「ユータン」は買わなかった。
同社の「ばけたん」(お化け探知機)は買った(正確にはその前身のゴーストレーダー)。今に至るも一度も反応したことがない。世はすべてこともなし。
「UFO手帖メモ」のコーナー
これ、触手がゴツイ腕になった(あと足が一本足りなくなった)ジェイムスン教授ではないだろうか。
いや、そんな形状になったらもはやジェイムスン教授ではないだろう。
ONESHOT ESSAYS
「アーノルド事件は日本でどう報じられたか」
前半がアーノルド事件について。後半が、アーノルド事件情報が日本へどのように伝播したかについて記述されている。
いや、実に詳細な内容にわたって書かれている。ケネス・アーノルドが当日どのように飛行し、どのような物体を目撃したか。
物体の数、飛行する方角、縦横厚さそれぞれの長さ、計測された秒単位の時間から計算された飛行速度などなど。
ケネス・アーノルドがきちんとそれらの事項を報告したから情報が残っているのだろうが、パイロットになるにはそういうことができるようになる必要があるのだろうか。
また情報の検証内容や、その後のケネス・アーノルドの発言の変遷などに至るまで細かく記されている。
こういった記述を読むと、やっぱり何かは飛んでいたのだろうな、と思える。
日本への情報伝播は、第一報としてはFEN(米軍の極東放送)の可能性もあるが、一般的には新聞を経由して知ったケースが多そうだ。
だが、日本の新聞はどのようにこの事件を取り上げたのだろう。
「アメリカではこんなのが流行っている」的伝え方だったようだが、そもそも「空飛ぶ円盤」をどのように解説していたのか知りたい。
「宇宙人の乗り物」としてか、それとも「こういう不可解な物が飛んでいるのを見た人がいる」という事実のみを伝えたのか。
最初にUFO情報を知らされた日本人が思ったのは、
「宇宙人っているんだ」なのか、「なにやら不可思議な物が、しかし確実に空を飛んでいるようだ」なのか、知りたいものだ。
新編・日本初期UFO図書総目録稿(1947-1974)
これはまさに労作。UFO手帖に寄稿する人たちはどういった本を読んでいるのだろうと思っていたが、この目録が指針となるように思う。
オカルト的な志向を進めていくには何より資料が必要となるケースが多い。
UFO、仙道、西洋魔術、皆そうだ。昔、朝松健が「(研究者同士の)仲違いの原因は資料の貸し借りに由来する」的なことを書いていたっけ。
表紙
最後に、素敵な表紙について。
マグアヨ事件をモチーフとしたイラスト。
人の家の庭の植物をバリバリ抜いていっている謎生物の図なのだが、UFOというわけのわからない物に乗ってきた生き物には、もっともらしい宇宙愛などを説くのではなく、こういうわけのわからない行為に及んでほしいものだと思う。
以上、駆け足でしたがUFO手帖2.0の感想です。
ああ、面白かった。素晴らしい本を本当にありがとうございます。
3.0も楽しみにしております。