「UFO手帖2.0」感想 その1


先日文学フリマで入手したのだが、これがめっぽう面白いので、取り急ぎ所感を記してみる。

今回の特集は「カタチから入るUFO」。

先にも書いたのだけれど、三角形のUFOについてはやはり興味を引かれる。
巨大で超低空を低速で飛行し、内部にトラス構造のような骨組みが見える、となると、(形状にさえ目をつぶれば)飛行船が一番近いのではないだろうか。
三角形の飛行船というのが可能かどうかは知らないのだけれど…。

UFOのカタチというと、小学生の頃テレビで見た玩具のCMを思い出す。
「アダムスキー型円盤」「ドーム型円盤」そして「葉巻型円盤」とラインナップが紹介される。
子どもだった私には何の違和感もなかったが、今なら思う。
「葉巻型円盤」とはなんという語義矛盾!
あの時代の「UFO」と「円盤」という語は完全に互換性を持っていたと思われる。

調べてみたところ、中嶋製作所から出ていたシリーズ玩具らしい。
オークションやまんだらけなどで「アダムスキー型円盤」「ドーム型円盤」「葉巻型円盤」それぞれ画像が見られるが、パッケージには「UFO」の文字はあるが「円盤」の文字は見えない…。宣伝用の文句だったのだろうか?

それはさておき。

「空飛ぶ円盤」という言葉から丸いイメージがデフォルトとなってしまったUFOだが、世の中には実にさまざまな形の飛行物体が飛び回っているらしい。
丸、三角、四角、はては生物的なフォルムを持つ物まで。子どもの頃夢中になったUFO図鑑では形による分類は定番だったが、その後、こういった切り口には出会わなかったように思う。
UFO体験は目撃するところから始まるものなので、こういった視覚的なアプローチがこの世にはもっとあっても良いのではないだろうか。

「UFOと音」のコーナー。
面白い!こういう音楽ネタは大好物である。
YMOの「U.T」。さんざん聞きこんで来たけど、私は「U.T」というタイトルがジョン・A・キールの「超地球人(Ultra Terrestrial)」から来ていることに気づいていなかった…。何という蒙昧な自分。
スネークマン・ショーとやった「これなんですか」が元だよね、とかそういう末節にしか意識が向かないという、今も変わらない我が欠点の露呈である。

歌い手が宇宙からやってきた設定で言うと、私の世代ではスターボーが挙げられるのだが(第10番惑星からやってきた宇宙三銃士という設定)、そのデビュー曲の「ハートブレイク太陽族」という微塵もSF感のないタイトルに悶絶したわけである。
曲:細野晴臣、詞:松本隆という鉄壁の布陣だったのに、どうしてこうなった。

「林檎もぎれビーム!」。絶望先生好きでずっと見ていたのに、こんな深遠な元ネタがあったなんて…。

「アダムスキーみたいな人たち」のコーナー。
今回はダニエル・フライさん。
またも自分の不勉強さの露呈になるが、この人については全然知らなかった。

しかし、ソ連との開発競争真っ只中にあるアメリカのロケット技術者の眼前に異星人の乗り物が現れるシーンや、声だけで(姿を見せず)コンタクトしてくる異星人という設定はA.C.クラークの「幼年期の終わり」を彷彿とさせる。
「幼年期の終わり」が1953年発表で、フライさんの「私は円盤に乗った」が1954年なので、影響を受けることは可能だったはずだが、どうなのだろうか。

「UFOと文学」のコーナー。
今回は「UFOと短歌」。

ああ、こんなところにもマゴニアへの入り口があるのか!
倉阪鬼一郎氏の怖い俳句とかは知ってはいたが、UFOやアダムスキーという単語が出てくる短歌があるとは考えもしなかった。
怖かったり切なかったり不安にさせられたり…短歌とはすごいものだ。

以下続きます。

林檎もぎれビーム!

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