昨日の続きです。
続いては揺銭樹(ようせんじゅ)。
「金のなる木ですね。」
青銅製の樹形で、葉の部分には銭貨、神仙、龍、鳳凰といった吉祥がかたどられている。
天辺にも鳳凰のような鳥がいて、玉か何か、光る珠を咥えている。
学芸員さんのお話では
貨幣を鋳造する時に、型を外すと銭貨がつながっている状態から着想を得たのかも、
ということだった。
なるほど、プラモデルの、ランナーにつながったパーツ群のようなものですかね。
この樹の台は陶製の羊。また羊である。吉祥の「祥」の字に「羊」があることから好んで用いられるモチーフとのことだが、こうまでお金の話に対する出現率が高いのは、やっぱり瞳が四角い(=銭貨を連想させる)せいだと思うんだけどなあ。
この銭貨について学芸員さんのお話。
丸い貨幣に四角い穴、という形状は、「天円地方」(空は丸く、大地は四角い)という宇宙観を表したもの、とも言われるが、果たしてそうだろうか。
もっと現実的な理由があったのではないか。
型から出された銭貨には、「バリ」がついている。このままでは使う時にチクッとしたり、財布を傷つけたりしてしまう。
そのため、バリ取りをしなくてはならない。
効率的にバリを取るにはどうするか。
棒に銭貨を大量に挿し、その状態で周囲をヤスリがけすれば効率的だろう。
だが、中心の穴が円形だった場合、銭貨が回転してしまい、うまくヤスリがかけられない…。
というわけで穴の形状は四角くなった、というたいへんに説得力のある説であった。
9室に移動。9室は5階だったよな、と思いながら案内係の人に付いていくと、一旦5階まで上がった後に階段を降りはじめた。
一度フロア移動しないとたどり着けない場所に9室はあるのか、そんな複雑な構造だったっけかな、と思いながら歩いていたら、
「すみません、間違えました。」とのこと。
あら、やっぱり。
しかし、ちょっとワクワクしたのは事実。このまま知らない場所に連れて行かれるのではないか、博物館で集団消失、とかロマンに満ちた妄想が頭をよぎったのだった。
ここでは金魚のネックレスを見る。メノウ製。
金魚は「金」の字が入っているだけでなく、発音が「金余」(お金が余っている)と同じなのでより有難がられるそうだ。
同じコーナーに展示されていたメノウ製の柘榴もすごかった。
メノウを磨いてその中に柘榴の実を模したルビーを多数象嵌してある。こういう細工は得意だよね。
13室に移動。
前回も登場した銭剣であります。そして出ました説明としての「霊幻道士」。まあ、銭剣が出てくる一番有名なのはこの作品なのでしょうね。
横山光輝の樊惴(ジャイアントロボ -地球が静止する日)も使っているのだが、まあ、マイナーだよね。
銭剣はお金で作った剣ではあるが、
「お金としては使えない」
「武器としても使えない」
という、言ってみれば役に立たないモノとなっている。
こういった「役に立たなさ」がマジカルな存在への効果を持つ、ということになるのではないか、とのこと。
銭剣の研究はまだ全然進んでおらず、使い方もよくわかっていないそうだ。
学芸員さんはこの銭剣研究に名乗りをあげられるとの由。
今後の研究にたいへん期待しています。


