極寒と発酵

少し時間ができたので、散髪に行くことにした。折りしも今季一番の大寒波がやってきているというのに、だがこの機を逃すと次はいつ髪を切りに行けるかわからないのだ。

寒いので、あんまり短くしないようにしよう。
「こんにちはー。」
「いらっしゃい。今日はどうします?」
「短くしてください。」
「はい。0.8ミリね。」
…またやってしまった。
反射的にオーダーする癖を改める必要があるね。

午後になっても気温は低いまま、しかも身を切るような冷たい風が吹いているのだが、外出する。
今日(1/14)から青山ファーマーズマーケットで
「発酵醸造未来フォーラム(Fermentation Future Forum)」
が催されるのだ。

発酵食品・飲料好きとしては外せない催しである。

ニットキャップにマスクという、これにサングラスが加われば職質必至というファッションで出かけることにする。風があまりに強いので、軍用のオーバーパンツとブーツで固めておいたのだが後にこれが正解だったと思い知る。
会場に着くと、寒空の下でありながらなかなかの盛況。会場内通貨であるシールと、お酒用お猪口を買い、早速場内へ。
まず目に付いたのは
東京大学大学院微生物学科×恋する芸術と科学 の「菌で遊ぶ生酒バー」のブース。
酵母の写真の展示と、その酵母から作った酒が並べてある。あ、この感じはMaker's Fairに似ている。寄ってみよう。…にごり酒。美味しゅうございました。

それにしても寒い。アルコールを摂取しても全く「カッ」と来ない。まるで雪山のようだ。登ったことないけど。だが、アルコールは体内のエネルギーを消費してしまうので雪山には不向きだと聞いた。雪山で有用なのは?…そうだ、脂肪と糖だ。というわけで「赤ねこ」さんの煮込みをいただく。ああ、温まる。
他にも何杯か日本酒をいただいたのだが、酔いというよりあまりに寒いためだんだん楽しくなってきてしまった。こんなに寒い思いをしたのはいつ以来だろう。
ずっと昔、武道をやっていたころは毎冬に寒稽古が行われていた。川に入って木剣を千回振るというものだが、途中で下半身の感覚がなくなっていくのは恐ろしい感覚だった。その後川原で汁粉が振舞われるのだが、それより先に濡れた道着を着替えさせてほしいというのが本音だったな。

帰った後、がんがんに炊いた風呂に足を着けて、「簡易足湯」を行うのだった。本当の足湯はたらいに湯を張って、そこに熱湯を(肌に触れないように)注いでいくというものだそうだが、追い炊きのできる浴槽を使ったこの簡易足湯でもかなり効果があるのだ。漬けている足がぶるぶる震えるほどの高温にするともの凄い量の汗が出て、ようやく寒さから解放された思いがするのだった。

今日は、一通り試飲した後、釣屋さんで鯖と牡蠣を、八ヶ岳食工房で生ハムとソーセージを入手。さらにデパートで一升酒を買って帰る。重い思いをしながら家に着いたら汗だくになっていた。これなら足湯は必要なさそうだ。