透視-イントロスコピー

「透視」とは、字面からすると透かし見る、つまり遮蔽物を透してその向こうにある物体を見ることを指すと思われる。だが、超心理学の分野では、通常視覚に頼らず視覚的なイメージを得る能力全般を指すらしい。
つまり、前述の遮蔽物を透かして見る能力と、空間を超越して遠隔地の光景を知覚する千里眼的な能力を包括して透視と呼ぶようだ。透かし見の方をイントロスコピー、千里眼の方はリモートビューイングなどと呼ばれるが、それらを合わせて「クレアボヤンス」と呼ぶ。
子どもの頃に中岡俊哉氏の著書でこの単語を知り、その不思議な語感にわくわくしたものだった。
実際、イントロスコピーとリモートビューイングという、かなり印象の違う異なる能力を一言で括ってしまうことには違和感を覚えることもあるのだが、超心理学で扱う現象の特性としてしょうがないところでもあるだろう。カードの裏が透けて見える(イントロスコピー)のと、カードの図柄が脳裏に浮かぶのとを区別するのは難しかろう。
だが、遠隔地からカードの図柄をテレパシー送信しそれを受信すると言う実験だったはずが、送信開始時刻前に受信側が予知しちまったとかいうケースに触れたりすると、まっとうなアプローチのしづらさにイラッと来る。

先日透視能力のようなチカラを持つ生き物と対峙する機会を得た。
猫様と遊んでいたところ、ふと思い立ったように猫様はカーテンの陰に潜んで行った。おや、かくれんぼなのですか、とカーテンに近づいたところ、いきなりカーテン裏から手が飛んできて、私の手を襲っていったのだった。
遮光カーテンなので透けては見えないはずだが、近づく足音で位置を把握したのか?では、足を動かさずに手だけ位置を変えてみよう。…ザク。やっぱり的確に手が飛んでくる。カーテンは透けない、影も見える位置にない。やはり、透視能力?

常識的に考えればやはり音なのだろう。動く時に立てる音、というより、手が動いたことによりそれまで聞こえていた音が遮られたことで手の位置を判断する、という背景音を使った特定方法ではないだろうか。

何にせよ、絶対見えない位置からも、猫族は獲物を探知できるのだ。常々思っていることだが、生まれ変わってもネズミだけにはなりたくないものだ。