地味な運動

外に出るのは億劫だが、体を動かすのは好きなたちである。そのため、細かい運動をちょこちょことやっていたりする。

1.馬歩/站椿
中国拳法や気功の鍛錬でよく目にする、「空気椅子」のような運動。運動と言いながら実は「動かない」ことが重要なのである。
気功の本を読むと、「膝を傷めることがあるので、膝を曲げすぎないように気をつける。」と書いてあることが多い。しかし、中国拳法や仙道の本だと「可能な限り腰を落とせ」との記述が多くなる。どっちに従うべきだろうか。
私が出した結論としては、「膝を傷めないよう、徐々に腰を落としていく」というものだった。なにより、膝を90度に曲げると30秒しかもたなかったというのが最大の理由ではあるが。
やってみるとこの運動はつらい。最初は160度くらいの浅い角度でも、2分も続けると冬でも汗が吹き出てきた。夏場は風呂場でやらなければならないレベルの発汗である。
それで2年ほど経過したところで、じわりと腰を落とし、145度くらいにしてみる。きついけど結構持つことが判明。時間を延ばしたり、片足で試したりしてみる。
さいわい、膝を壊すことはなかったと思われるが、この運動を終えてしばらくすると膝が痛むことがあった。動かすと痛いというわけではなく、動かさずとも痛く、逆に言うと痛くても運動的には問題ない。骨や腱がどうこうなったという感じではないのだが、30分くらい痛みが続く。風呂に入ると比較的早く痛みがなくなるように感じたので、運動後は入浴するようにした。
また、痛みということでは別の発見があった。起床時に膝が痛むのだ。それも、この站椿をしなかった翌日決まって痛むのだ(站椿をした翌日は痛まない)。不思議。
そして、站椿を始めてから10年ほど経て、ついに膝角度90度に挑戦してみた。…やっぱりきつい、これ。2分が限界だ。よし、開始当初の気持ちを思い出し、2分やって1分休憩のパターンで行こう。
站椿の最大の問題は、きつい事というより、つまらない事なのだ。体を動かす爽快感があるわけではなく、足は痛く、汗は吹き出る。慣れてくると足全体が温かくなり「これが『気』か?」とか思わせてくれるのだが、現在進行中の膝90度ではそんな余裕がなく、ひたすら姿勢の維持を意識し苦痛を耐え忍ぶだけの存在となってしまう。
よく10年も続いているな。いや、さぼりさぼりなので続いているとは言えないに違いない。

2.どこでも地味腹筋
椅子に座っていても立っていてもできる、腹筋の痙攣運動。臍から下の腹筋を前後に動かす。慣れないうちはゆっくりしかできないし、連続することも難しい。だが慣れると高速で腹筋を動かすことが出来るようになる(1秒間に3回ペースで行うとまるで痙攣しているようだ)し、2000回連続させてもどうということはなくなる。
効能:片手間にプチ気功ができます。なんとなくお腹が温かい。
注意:腹筋は割れません。逆に下腹がなんとなく丸みを帯びてきます。格好良く言うと金剛力士像のお腹みたいな感じ。

3.ケーゲル法(のような)
肛門括約筋の収縮・弛緩を速い速度で繰り返す。便秘だけでなく下痢の予防になるという話もあるし。痔にも良いらしい。老化による下半身のトラブル予防ということでは西洋医学的にも効果が認められているようでもある。
効能:片手間にプチ気功ができます。なんとなくお腹が温かい。←ものの本によると尻が温かくなるそうなのだが、何故か下丹田が温かくなる…。
注意:セロトニンが出る、という効能が謳われることもある通り、眠くなる。布団に入って眠りに落ちるまでの間を無駄にしないようにと考え、布団の中で実践していたら猛烈に寝つきが良くなった。同様に、歩いていても仕事中でもこの運動を行うとたちどころに睡魔に襲われるようになった。

こんな地味な運動をぼちぼちと続けている。何か良いことはあったか、というと…命にかかわるような大病をしないですんでいる、くらいだろうか。