モー・ショボーに限らず、鳥のような魔物はいろいろな文化に存在する。日本ではまず「夜雀」。「チッチッ」と鳴きながら山道を行く人の後をつけたり、前に回ったりする。狼や山犬の先触れとしての役割があることも多い。恐ろしいものが出現する予兆のようなもの、という存在だ。
実際に鳥が飛んで来た後に何らかの獣が現れる、ということはあるかもしれない。肉食獣が狩りを行うのを待ち、おこぼれに預かるということ(そのために肉食獣を案内するかも)は考えられる。肉食獣としては「あの鳥を追っていけば獲物に出会える」という感覚になるのではないか。人間だって釣りをする場合に鳥山をポイントの目印としたりするのだから。
また、海燕が現れると嵐が来る、などとも言われるため、凶事の先触れ=凶鳥と目されることが多いのかもしれない。
鳥型と言えるかどうかは微妙だが、チリには「チョンチョン」と呼ばれる空飛ぶ魔物がいる。人頭に付いた大きな耳を翼のように使って飛行するとされる。その鳴き声は死の前触れとして恐れられている。ちなみに鳴き声は「チュエ、チュエ」だという。
畢方(ヒッポウ)というのは中国の魔物、一本足の鶴といった形状をしており、火災の前兆と目される。それも不審火。鳴き声からの命名という説がある。火事を起こす鳥、というのは珍しいのだろうか。不死鳥(火の鳥)、などというものもあるがあれは自分を燃やすだけだし。
鳥は空を飛ぶため、遠くを見渡せる。そのため地上の生き物に比べて事象の兆候を捉えやすいのだろう。また、夜の鳥の鳴き声には不気味なものもある。そんなイメージから不吉なものとされることが多いのかもしれない。