夏の思い出というと、夏痩せという言葉が上がってくる不健康生活者である。
人生を振り返ってみてもああ、あの夏はいつにも増してひどく体重が落ちたなあ、などというしょうもない記憶でいっぱいである。
受験の年はストレスから水物を摂取しすぎて大痩せ、成人してからは盆休みにアサインされるシステムリプレースのストレスとその完了を祝っての飲み会とで大痩せ、とどこを取ってもしょうもない。
そもそも暴飲暴食でてきめんに痩せるという効率の悪い体質によるものであり、そのため、一番体重が落ちなかった期間は、貧乏学生だった大学生時代となるのだ。
お金がなくて飲みすぎ食べすぎできないから痩せようがないという、言うなれば貧乏健康法。
夏に痩せたところで夏バテするわけでもなく直接的な悪影響は出ないのだが、毎年決まって秋になると高熱を出したり、秋の間に体重を戻すことができないでいると冬の寒さでまた熱を出したりと長期間にわたり苦しむことになる。
こんな体質を改善、というよりは体質に合った食材を摂取することで、夏痩せしないよう努力してみたこともある。
仙草ゼリーというものがある。体の余分な熱を取り、滋養強壮に効果があるという夏バテ対策の特効薬的なアイテムである。
だが、缶から出した仙草はたいへんに癖の強い匂い、有体に言ってしまうと虫歯に詰める薬の匂いがして、どうにも食べ進められなかったのだった(また、缶がとても大きい)。
初めての仙草はそんな感じだったのだが、翌年もう一度チャレンジしてみようと思い立ち、同じ柄・サイズの缶を買って開けてみたところ、全然臭くない…。
缶によって差があるということ?それとも年ごとに違いがある?理由は不明だが、おいしく食べられる仙草があるということがわかったのだった。
黒蜜をかけたり、面倒な時はパインの缶詰をシロップごと合わせたりして食べるとおいしい。
熱取りつながりで梨をスライスして入れたりするのもおすすめである。
ただ、私には一つ掟がある。仙草ゼリーを食べるときは飲み物をなるべく控えるようにすること。
さもないと今度は仙草ゼリーダイエットが始まることになるのだ。