河童について

先日、テレビで九州北部に伝わる河童伝説についての番組をやっていた。その中で、河童はもともと水死体に霊・悪霊が取り憑いたものだった、という話があり、興味を引かれた。河童が死体由来(もしかしてゾンビ系)という分類である認識がなかったからである。ここで河童の分類を見てみる。

大まかに分けて以下の3パターン+1でどうだろう。

1.UMA(未確認動物)系
 生物として存在しているが、曖昧にしか確認されていないもの。理論上捕獲は可能な存在。
 
2.妖怪系
 生物ではない。実体をもつかどうかも曖昧で、捕獲することは不可能と推測される。

3.人間系
 ある一族、水死体など。実在する人間を河童に見立てたり、死体を河童だとあえて呼んだり見間違えたりしたケース。

4.それ以外
わけの分からないもの。

それぞれ細かく見ていこう。

1.UMA(未確認動物)系

・UMA
河童は近年の目撃事例も多く、1985年の対馬のケースでは足跡や粘液といった物証まで残している。目撃者が「生臭かった」と証言するケースがあり、この点から動物学者の実吉達郎先生は「爬虫類である可能性がある」と指摘する。両生類は良い香りであることが多く(サンショウウオはその香りから名づけられた)、爬虫類は一般的に生臭いためである。また、「頭の皿」に関しては「鶏冠のようなものかもしれない。性別によって形状が異なっていたりする可能性もある」と興味を示されている。

・宇宙人
UMAの項目に入れてしまっても構うまい。
いわゆる「リトル・グレイ」型の宇宙人には、河童との類似点が多いとする説もある。体長120センチ近辺、耳や鼻は目立たず、あごは細い、など。
また、チュパカブラやドーバーデーモンのように、リトルグレイの近縁種という噂のUMAとの関連を指摘されるケースもある。

2.妖怪系

・水虎
中国出身の妖怪。中国では比較的おとなしい妖怪と描写されているが、日本では人を水中に引きずりこんで血を吸ったり霊魂を吸ったりする恐ろしい描写になっている。典型的な河童と比較すると皿が無いなどの違いが見られる。

・猿猴
中国出身の妖怪。頭部に皿を持つ。全身毛むくじゃら。胴体内で左右の手がつながっており、片方の手を引くとその手が伸びた分反対の手が縮む(通臂)特徴を持つ。

渡来ではない、日本土着の(妖怪としての)河童がいるのかどうかについては調査が至っていない。

3.人間系

・職人集団
関東では治水事業を河童たちが助けてくれる話がある。合羽橋の「合羽」はレインウェアとしての「かっぱ」だが(直接の由来は人名)、掘割工事には「河童」が手伝ってくれたとの伝説がある。
また九州には、神社建築の際に労働力として使役されていた人形が河童の基になったという伝説があり、建築系の技術者だったことをうかがわせる。

・水死体
緑色の皮膚、盛り上がった甲羅(の様に見える膨れた胴体)は水死体の特徴であるという指摘がある。また、河童に尻子玉を抜かれると死ぬ、というのは、水死体は肛門が開いており何かが抜け出た後のように見えることから言われるようになったという話もある。とすると、水死体が水死体を生産することになり、なにやら不気味な話である。
髷を落とした頭部は皿のように見えるのではないかとも思ったが、猿猴は中国にいるときから皿をかぶっていたようだし、違うのかも。

九州では壇ノ浦で敗れた平家の落人の魂が河童になるという伝説があるそうだ。水死体に霊が憑いて河童になるという話も、ここに近いと思われる。
憑くのは人の霊なのかそれとも河童の基となる人外の霊なのかは不明。人外のものだとするとネクロマンシー的な話となり、日本では珍しいように思う。近いものがあるとすると猫又が死体を動かすという話だろうか。しかし、これは死体をどこか別の場所に運ぶために操るのであって、取り憑いてどうこうという話とは異なる気がする。

4.それ以外

河童という(バリエーションは広いにしても)イメージの固まっているものに対して「よくわからない」ということはあまり無い様に思われるかもしれないが、飛び切りわけの分からないモノがいるそうだ。
興味のある方は新耳袋「河童じゃないから」のお話をどうぞ。