梅雨 ―― 合羽の思い出

梅雨明けはまだなのだろうか。
雨は好きだが、梅雨にはあまり良い思い出がないのだ。
中学、高校と山奥の田舎で暮らしたため、雨が降ると通学が途端にたいへんになるという環境下だったせいかもしれない。
とりわけ、高校は小高い山の頂上にあり、また自宅は別の山の頂上にあったため、自転車通学の身では行きも帰りも必ずヒルクライムを経ることになる。大雨ではなくても雨合羽を着て坂を上れば汗だくとなり、梅雨時は湿気が多く気温は低めであるため、学校でいつまでもずぶぬれ状態でいなくてはならなかったのは嫌な記憶だ。
現在ならば透湿性の高い素敵な素材のレインウェアが比較的安価に手に入るが、当時(少なくとも私の周囲には)そんな便利グッズは存在しなかったのだ。

大学時代はバイクに乗っていた。
雨中の高速道路を走っていると、隣を追い越していくトラックが跳ね上げた水がフルフェイスのヘルメットの襟元から勢い良く入り込んで来て、死にそうになるやら死にたくなるやら。

勤め人となって随分経つ。通勤は電車で、雨具といえば傘だ。
しかし何故だか合羽とは縁が切れない。土嚢を積んだり重い荷物を運んだりと業務上の都合で合羽を着ている。
しかも100均で買った使い捨てのものばかりだ。

おかしい、学生時代に比べてグレードががた落ちではないか…?