書縁

書縁というものは確実にある。
いわゆる「本に呼ばれる」というやつだ。

何気なく入った書店でずっと探していた本を見つける。
ふと見た本棚に気になるタイトルを見つけて手に取るとどストライクだった。
本を整理していたら十数年も前に買った雑誌に(当時まだ知らなかった、でも今は大好きな)アーティストが寄稿しているのを発見する。

などなど枚挙に暇は無いが、古書漁りにまで手を出すとより強くこういった感覚を味わうことになるだろう。

だが、結ばれる縁があれば切れる縁もあるのだということを思い知らされた。

ずっと探している本がある。何回も書いているが「猫の尻尾も借りてきて」である。
どこで探しているかというと家の中なのだ。実家でも探している。
30年以上も前に買って読んで好きになって読み倒したのだ。

その挙句に本が行方不明になってしまったのではあるが。大事にしすぎてどこかにしまいこんでしまったのだろうか。
実家に帰る度に家探しをして見つからず、業を煮やして実家の自分の本ダンボール7箱分全部今の家に送ってじっくり探すもやはり見つからず。

古書では常軌を逸した金額がついており、復刊の気配もまったく感じられない。

というわけで、ついに最後の手段、国立国会図書館に頼ることにした。

…ここ来るの何年ぶりだろう。利用者カードはとっくに失効してしまっているので作り直すところから開始。
ICチップ入りのカードをかざすと端末にログインして、検索や貸出の手続きができるのか。すごく便利になってる!

さあ、目標を検索して貸出だ。
ヒット!まあ、これは国立国会図書館の公開サービスで既にわかっていたことだ。

さて、貸出からコピーサービスの申し込み…だ?
なんで「利用上の注意」の欄に「複写不可」って書いてあるの?
どういうこと?
他のソノラマ文庫を思いつく限り検索しても複写不可なんて表示ないよ??

どういうことだろう。原本がダメージを受けていて複写作業に耐えられないとか(じゃあデジタイズしてよ)?

腹いせに仙道書とか読みふけって帰ってきたけど…。
まるで、UFO研究家が研究機関に提出した資料が忽然と消えうせるような、
そんな陰謀めいたものまで感じるぞ。

書縁にも逆縁があるのか。これが一期一会というものなのか…。