知らないうちにうっかりボールペンで描いてしまったらしい。
だが、何かこの線には見覚えがる。昨日も同じところに線があったような気がする。
ひょっとして昨日の線が消えていない?いや、ちゃんと手を洗い、きれいにしたですよ。
などと書いていたら、その翌日、やっぱり同じところに黒い線が描かれていた…。
毎日体の同じところに黒い線が描かれるというと、妖星伝を思い出す。
妖星伝の冒頭、城主のまだ幼い息子の左胸に墨で書かれた「一」の文字を世話役が発見するシーンがある。
またいたずらをして、などと軽く思っていたが、何日も続くうちに、ふと気づく。
「これが筆ではなく、刃物であったらどうだろう。」
実際そういう脅迫であったわけだが、まあ、私の親指はそういう話とは無縁であろう。
しかしこの黒い線、私の癖のような物だろうとは思うが、
まったく記憶にないのに気がつくと自分の手に線が描かれているというのは不思議なものである。