かまいたち

知らないうちに身体に切り傷ができており、出血もせず、痛みもない--そんな時に人は「かまいたちの仕業だと噂する(傷口に気づいた後に出血と激痛を覚えるケースあり)。有名なところでは三体が一組となって行動し、人を転ばせる役目、刃物で切る役目、傷口に薬を塗る役目をそれぞれ受け持っているという説もある。実際、この不思議な傷は普通の傷より治りが早いという報告もある。

つむじ風のような気圧差を生む現象がかまいたちの正体であるとする説が昔から有力である。だが、つむじ風程度の気圧差では人の皮膚は破れない、とか、実際に真空環境で実験を行ったが傷はできなかった、など否定する側の説も多い。
つむじ風のような強い気流によって飛ばされた小片が当たって傷ができるという説は有力そうだが、血が出ないなどの現象への説明は難しい。

この真空説は実は出自が古く、井上円了も唱えていたらしい(明治)。なので、真空による切断という技はフィクションに頻出で、赤胴鈴之助の「真空切り」や、怪奇大作戦の「かまいたち」の回など枚挙にいとまがない。

不思議なことにかまいたちの伝説には暦が絡んでいることが多い。曰く、暦を踏むとかまいたちに切られる、かまいたちの傷には古い暦を燃やした炭が効く、かまいたち封じに暦を窓に貼る、などなど。謎の切り傷と時を示す暦、暦を大事にしなさい、という教訓のためだけにしては、かまいたちというキャラは立ちすぎているように思える。

今後の調査課題としよう。