ダル(ヒダル神)

最近、起きた瞬間に体が重いことを実感する。今朝などは特にひどく、「ヒダル神に憑かれたか?」と心配になるほどだったが、朝食を摂っても治らなかったので憑かれたというわけではなさそうだ。
ヒダル神とは、人に飢餓感を起こさせて動けなくする存在、とされる。思うに現在言うところの「ハンガーノック」状態を起こさせるということだろう。だが、ハンガーノックは空腹感なしで訪れることがあるという。
山を走る趣味の人がいて、ある日突然山中で体が動かなくなってしまった。ばったり倒れていると幸い登山者が通りがかり、いきなり体が動かなくなった旨を話すと、弁当を食えと差し出してくれた。それを食べてしばらくするとまた体が動くようになり、走って山を降りて行った…という話を読んだことがある。運動中は空腹感を感じにくいので、血糖がいきなり切れるような感じになるのではないか。
なので、怖い話としてのヒダル神は空腹感無くいきなり体が動かなくなるケースではないかと思うのだ。NHKで昔紹介されていたのだが、麹を買いに行った男がヒダル神に取り憑かれるが、懐の麹を食べることで助かるという話があった。この時には空腹感の話はなかったような気がするのだが…。

ちなみに「ひだるい」とは空腹を表す語で、古くから使われてきたが現在でも方言として残っている地方がある。「ひもじい」とは「ひだるい」から派生した言葉で、「ひだるい」と直接言うことを避け、「ひもじ(=「ひ文字」)と称したことが元であるそうだ。同様に、「恥ずかしい」と言わずに「はもじ」と言った(「おはもじ」とも)言葉がある。
惚れたことを「ほの字」などと言うが(もう言わないか)、その流れをくむものだろうか。

体の重さの原因はヒダル神ではないようだ。逆に体を軽くしてくれる存在はいないだろうか。頭を軽くされるのは考えものだが(頭とは重くても軽くても問題のある部位なのだな)。