これから派生した、グレムリン効果という言葉がある。原因不明の機械の故障・不具合を指すのだが、もともとグレムリンがイギリス空軍で誕生したという説からもわかるように、当初は主に航空機の故障などを称する際に使われたようだ。
コンピュータ関係の仕事をしていると、グレムリン効果にはしょっちゅう出くわす。
準備万端整えて、何回もリハーサルをして臨んだプレゼンで、さっきまで順調に動いていたアプリがエラーを吐いて停まってしまう。
逆に、ある人が操作していると問題なく動くのに、オペレータが変わった瞬間挙動がおかしくなる…。
など、枚挙にいとまがない。
大手電機メーカーでも、ある人がコンソールに触れているとシステムが正常に動くので、大事なときはその人にずっと付き合ってもらった、などという伝説的な話があるそうだ。操作ではなく触れているだけで、というのがすごいな。
私にも経験がある。駆け出し以前、プログラマの研修中に与えられた課題をこなしていた時、どうしてもうまく動かない箇所があった。何度も修正し、コンパイルして、動かす。何度目かの試行の際、動け、動けと念じながら起動させると、おお、苦労した部分も仕様通りの動きをするではないか。隣の席の同僚が私のソースを見ながら「何でこれで動いてるんだ?」と言い出すまでは。言われた瞬間ピタリと停まり、もう一度起動をかけてもさっきのような動きはしない。
「余計なことを言うから停まってしまったではないか。」
「誤った構文の記述をしているのだ。コンパイルが通った時点でおかしい。」
…本当だ。念力でプログラムを動かせるようになってしまったら少なくともデバッガの道は閉ざされるな。
これも広義ではグレムリン効果と言えるのではないだろうか。