真夜中の太陽-暑いときこそ心はクールに

猛暑である。こんな暑い日にはロッド・サーリングの「真夜中の太陽」を思い出す。学研の「読み物特集号」に載っていたのだ。福島正実氏の訳だったと記憶している。夏休みに読むには最適の一編だった。

地球が公転軌道を外れ、太陽に近づいていくため、どんどん気温が上がっていく世界。多くの人たちはわずかでも気温が低い極地方へ移動を開始しているが、ヒロインは元の場所に住み続けることを選択している。そんな状況での普通の人々の生活を淡々と描いているのがこの作品だ。

破滅に向かう世界モノだが、逃げ惑う人々やパニックになっている光景は殆ど描かれない。むしろパニックにならないように努める普通の人々の描写となっている。

と、ここまで書いて、他に似た雰囲気を持つものがあることを思い出した。

ラリイ・ニーブンの「無常の月」である。

満月が明るく輝く夜、街角は静かな賑わいを見せている。主人公は異常な月の輝きと、木星までもが明るさを増していることから、太陽に異変が発生していることに気づくのだが、それは街角のみんなも同じなのだった…。

こういう、冷静に状況を受け止めて、静かに時を過ごそうとする描写はたまらない。自棄にならず、熱くがんばるのでもなく、淡々と困難な局面に臨む…。日本の作品では「星は、昴」だろうか。

昔からパニック映画が苦手だった。パニックになって論理的ではない行動を取る登場人物によって他のキャラクターが危機に陥るとかそういったシーンに我慢がならないのだ(そういったシーンがないので「タワーリング・インフェルノ」とか「ポセイドン・アドベンチャー」は好きな映画である)。

だからと言って、終始パニックに陥らず、恐怖心を制御しながら冷静に選択した挙句があのラストかという「ミスト」はどうなのかというとこれまた大好きな映画なのだった。見終わると落ち込むけど。